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黒字化対策2-経理基準の変更で大幅黒字を達成!

売上の計上基準を見直す

黒字化対策の2つ目の柱は、「経理基準の変更」です。なるべく今期の費用計上が少なく、収入計上が多くなるように経理基準を見直します。  

具体的には、まず「売上の計上基準を見直し」ます。例えば、先方の検収確認があって初めて売上を計上する「検収基準」から、こちらから出荷があった時点で売上を計上する「出荷基準」に変更します。すると、早い段階で売上を計上できますので、黒字化に貢献します。  

また、3月末決算の会社で25日締めの売上先があった場合、原則的には3/26~3/31までの締め日以後の売上も今期に計上しないといけません。しかし、法人税法基本通達2-6-1では、「法人が、商慣習その他相当の理由により、各事業年度に係る収入及び支出の計算の基礎となる決算締切日を継続してその事業年度終了の日以前おおむね10日以内の一定の日としている場合には、これを認める」とあります。つまり、特例で締め日以後の売上を計上しなくていい(来期に計上する)という処理方法も認められています。 しかし、黒字化対策という視点で考えると、「締め日以後の売上もきちんと計上」しましょう。もちろんそれに見合う仕入などの費用も同様に処理しないといけませんが、黒字化対策に貢献します。  

ただし、売上の計上基準や締め後売上処理については、継続適用(今期はこの処理で来期は別の処理というのは認められないということ)が必要ですので、忘れないでください。

減価償却費の計上金額を減らす

機械装置などの有形固定資産やソフトウェアなどの無形固定資産、更には事務所契約における権利金などの繰延資産は、通常、「減価償却費」という形でそれぞれの耐用年数に応じて費用化されます。資産が多い製造業や他店舗展開している飲食業などでは、多額の減価償却費が計上されることがあります。 実は、この減価償却費というのは、税務上は、「任意計上」になっています。つまり、計上してもしなくてもいいということです。もっというと、一部だけ計上するということも、税務上は認められています。

そこで、「上場企業などでなく税務会計処理中心で問題のない中小企業」は、黒字化対策において、「減価償却費の計上金額を減らす」ことを検討してみてはどうでしょうか。ただし、減価償却費の調整は金融機関も承知していることがありますので、極端に0円などとはしないほうがいいこともあります。また、減価償却費の計上金額を減らすというのは、企業会計上はあまり好ましくありません。  

また、減価償却の方法には、定額法と定率法がありますが、機械装置などは通常定率法が選択されています。定率法では、当初に多額の減価償却費を計上できますので、節税対策上は有効です。そこで、黒字化対策においては、この「減価償却方法の変更」を検討してみるのも一考です。ただし、変更には、原則変更したい事業年度開始前に申請書の提出が必要ですので、ご注意ください(今期決算には間に合いませんので、来期以後のために提出するかどうかをご判断ください)。  

節税対策
で詳しく述べますが、一定の固定資産を購入した場合には、税金の優遇措置があります。この優遇措置には、「特別償却」と「税額控除」があります。黒字化対策という観点では、「税額控除を選択」してください。特別償却では減価償却費が増えてしまい赤字幅が増えますが、税額控除では払う税金を減らす処理となります。また、税額控除においては、今期税金が発生しない場合には、来期に控除額を繰り越すことができます。

役員給与の減額

役員関係の黒字化対策で、該当するともっとも影響が大きいと思われるのが、「役員給与の減額」です。  

ただし注意しないといけないのが、「一時的な資金繰りの都合」や「業績が対前年比で下がった」程度の理由では、税務上、その減額を認めてくれないということです。この場合、もとの役員給与が100万円で減額後の役員給与が30万円とすると、100万円-30万円=70万円が費用処理不可となってしまいます。  

そこで、役員給与の期中減額を認めてくれる税務上の要件を知ることは大切です。  

減額を認めてくれるパターンは大きく2つです。「職制上の地位の変更等による場合」と「経営状況の著しい悪化等による場合」です。最初の職制上の地位の変更等とは、代表取締役社長が平の取締役にかわる場合などです。  

黒字化対策で重要な「経営状況の著しい悪化等で役員給与の減額を税務上も認めてくれるケース」とは、以下のようになっています。

1.株主との関係上、業績や財務状況の悪化についての役員としての経営上の責任から減額せざるを得ない場合
2.取引銀行との間で行われる借入金返済のリスケジュールの協議において、減額せざるを得ない場合
3.業績や財務状況または資金繰りが悪化したため、取引先等の利害関係者からの信用を維持、確保する必要性から、経営状況の改善を図るための計画が策定され、この中に役員給与の減額が盛り込まれた場合

他にも、役員関係の黒字化対策では、「役員交際費の自主負担」や、「役員などに対する貸付金に利息を計上する」というものもあります。

未払経費、引当金の計上見合わせ

3月決算の場合で支払いは4月以後だけれども役務の提供は既に3月までに受けているというものは、未払経費処理となり、原則今期に経費処理することになります。  

例えば、3月分の社会保険料や電話代などが該当します。節税対策上は、これらは未払経費処理したほうがいいのですが、黒字化対策では逆に計上しないほうがいいことになります。  

とはいえ、その会社にとって金額の多寡などから重要な科目については、未払経費処理すべきですが、それ以外の少額なもの、例えば、上記の電話代などは「未払経費処理せず」黒字化対策とすることも可能でしょう。この方法は、企業会計の適正性を歪めない程度におこなうのがいいでしょう。

また、「貸倒引当金などの各種引当金の計上を見合わせて、戻し入れをおこなう」というのも、黒字化対策には有効です。税務上、一定の計算式のもと、将来その会社の債権が貸し倒れになるかもしれない見積額を、費用計上することを認めています。それが、税務上の貸倒引当金ですが、中小企業でよくあるのは、この税務上の金額をそのまま費用計上しているパターンです。節税対策上は有効なのですが、黒字化対策を考えると、貸倒引当金の計上をやめて今まで計上してきた分を戻し入れる処理をおこなうと、費用が減り収入が増えますので、黒字化に貢献します。

税込経理で消費税を納税時計上

経理基準の変更における黒字化対策での最後の項目は、「税込経理に変更し、消費税を納税時計上にする」です。  

売上や仕入などを消費税込みで認識する経理を「税込経理」といい、消費税抜きで認識する経理を「税抜経理」といいます。一般的には、税込経理であると、その会社が支払うべき消費税分だけ、利益がかさ上げされることになります。つまり、黒字化に貢献するということです。この場合、支払うべき消費税については、「支払いするとき」に租税公課として費用処理するようにしてください。  

ただしこの方法も、原則的には継続適用が必要ですので忘れないでください。

2009.11.1執筆

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。

今村 仁

今村 仁

「節税は義務、納税は権利」がモットーです。
自分の半生について、取材を受けました。

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