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黒字化対策5-収益体質の見直し

会社全体で経費削減を実施する

会社を黒字にもっていくための対策として、もっとも本質的なものが、この「収益体質の見直し」です。

まずは、経費項目に注目すると、「役員のグレー経費を会社の経費にしない」ことです。グレー経費とは、会社のためともいえるしプライベート経費ともいえるようなものです。会社が危機のときというのは、やはりトップが率先垂範(そっせんすいはん)すべきですから、グレー経費については会社経費から積極的に除いてください。  

そのうえで、「会社全体で経費削減を実施」してください。このときには、会社の過去9ケ月実績や未来3ケ月予想なども問題ない範囲で開示して、危機意識の共有を目指してください。  

また、労働分配率が高くて赤字となっている会社では、「賞与の減額」なども検討してください。労働分配率とは、売上から仕入などの変動費を差し引いた限界利益(≒売上総利益)に占める人件費の割合のことです。

中小企業では薄利多売ではなく厚利多売を目指す!

中小企業は大企業に比べて小回りがききます。画一的なサービスだけではなくて、1人1人個別対応も可能です。あくまで一般論ですが、中小企業は薄利多売ではなく厚利多売を目指すべきです。つまり、高付加価値経営が生き残る道です。  

国内でみると、あらゆるものが行き渡っています。供給過多の需要不足です。でも、私やあなたを含めた消費者が感じているのは、「何か足りないという不足感」や「もっとこうしてほしいという不満感」です。このニーズにスポッとはまるのが、中小企業です。人口動向などから概観して長い目でみると、日本はマイナス成長の時代に入ったのではないかと思います。マイナス成長の時代で必要とされる会社は、大企業ではなくて中小企業だと思います。  

高付加価値とは、会計上の言葉では、「損益分岐点売上の引き下げ」ともいえます。損益分岐点売上とは、「固定費÷限界利益率」で計算できます。ここで、限界利益率とは限界利益÷売上高です。そして、限界利益とは、図にもあるように売上高-変動費となり、損益分岐点売上高=固定費÷限界利益率=固定費÷{(売上高-変動費)÷売上高}となります(詳細は、拙著「会社設立5年お金にまつわる解決一切」のP163をご覧ください)。

では、損益分岐点売上の引き下げ対策としては、どのようなものがあるでしょうか。計算式から考えると、以下の4つになります。

(損益分岐点売上の引き下げ対策)
1.固定費を下げる
2.固定費の変動費化
3.変動費を下げる
4.売上単価を上げる

高付加価値を目指すには、工夫改善の積み重ねや、お客様のことを真に徹底して考える気遣い心配りなど、「額に汗する」のと同じくらい、「脳に汗」が必要です。不断の努力を続けてください。ちなみに、固定費の変動費化では、例えば、「店舗家賃を家主と交渉して一部売上に応じたものにする」や「人件費の外注費化」などが考えられます。

限界利益

不況対策2つ

ここからは、今期の黒字化対策に直接結びつくわけはないのですが、間接的には影響のある項目です。  

まずは、「売上債権回転率及び棚卸資産回転率の向上」です。それぞれの回転率の詳細は、「現預金残高まで予測する裏技」で述べましたが、売上債権回転率の向上とは、売上債権のサイトを短くしてもらうことです。例えば、末締めの翌月末入金の得意先に対して、交渉のうえ、入金日を翌月25日にしてもらうようなことです。

棚卸資産回転率の向上とは、仕入れてから売上までの日数を短くすることで、社内の棚卸資産管理を改善することで実現することがあります。  

これらの手法は、不況時の資金繰り対策として有効です。ぜひ、検討してみてください。  

次に、「売上先の多様化を検討する」ですが、中小企業の特徴として、売上が特定の会社に偏っていることがあります。これは、経営としては危険です。 不況時には特に、売上先を複数もつことは重要です。また、単に複数もつというだけではなくて、色々な業種の売上先であると、なお良いです。つまり、売上先を、なるべく複数でかつ異業種となるように多様化できると、不況対策となるでしょう。

2009.11.1執筆

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。

今村 仁

今村 仁

「節税は義務、納税は権利」がモットーです。
自分の半生について、取材を受けました。

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