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事務所移転に伴う費用で、節税となるもの・ならないもの

節税となるものは旧事務所に多い

決算前に、節税対策を兼ねて、事務所移転を検討される会社があります。事務所移転というと、移転費用や保証金支払いなど多額の出費となりますから、当然に節税となるだろうと思われるかもしれませんが、思ったほど節税とならないことがあります。  

そこで、事務所移転に伴う費用で、節税となるもの及びならないものをまとめてみます。  

まずは、節税となるものからですが、旧事務所に関するものと新事務所に関するものに分けて考えてみます。  

まずは、旧事務所に関するものとして、「原状回復費用」があります。これは、通常入居時に支払った保証金から差し引かれることが多いのですが、全額費用計上できますので節税となります。ちなみに、返却される保証金については収入ではありませんので、課税されません。

また、書類などを廃棄してもらうために業者に支払う「廃棄費用」が発生することがありますが、同様に全額費用計上できます。そしてこのときに忘れがちなのが、新事務所に持っていかない固定資産に対しての「除却損」の計上です。例えば、古くなったのでこのパソコンは処分するといった場合で、そのパソコンが自社の固定資産台帳に計上されていれば、その帳簿価額を「固定資産除却損」として費用計上できます。同様に、「事務所礼金」についても、その帳簿価額を全額費用計上できます。出費をともなわない費用なので、よく計上漏れを見かけます。ぜひ、事務所移転のときには、節税対策として自社の固定資産や繰延資産の台帳の見直しを忘れないようにしてください。

次に、新事務所に関するものですが、「引越し費用」や「引越し後の慰労会費用(社会通念上妥当な金額)」、「新事務所契約に伴う仲介手数料」は、全額費用計上OKです。

また、新事務所において、事務所備品や看板などで「30万円未満の資産購入」についても、資本金1億円以下の青色申告書を提出する中小企業者等であれば、全額費用計上出来ます。

節税とならないものは要チェック(特に新事務所)

節税とならないもので旧事務所に関するものとしては、移転とともに「新事務所に持っていく資産」です。時々、移転するんだから全額費用で落としていいんじゃないのといわれる方もおられますが、税務調査では厳しく見られます。新事務所で使う資産は、「固定資産除却損」に計上できないことを覚えておいてください。  

節税とならないもので新事務所に関するものは、数多くあります。一番金額が大きいのが、「保証金」でしょう。保証金は将来返還される可能性がありますので、資産に計上することになり、費用とはなりません。逆に、契約時点で将来にわたって必ず返還されない部分については、「礼金」として、通常5年間の均等償却となります。償却できるとはいえ、決算間近での新事務所契約であると、月数按分となりますので、今期の費用計上額はかなり少なくなるとお考えください。  

また、新事務所家賃については、契約と同時に振り込むことになるかと思いますが、通常前払いですので、当期に費用計上できる部分を正確に把握しておいてください。  

移転にともなって、内装工事や間仕切り工事(30万円以上)をされることも多いと思います。これらは修繕費ではないかと勘違いされていることもありますが、税務上は、資産となり、減価償却を通じて費用化する処理となります。この場合礼金と同様、月数按分となります。

また、30万円以上の事務所備品や家具の購入についても、同様に資産計上となります。

2009.11.1執筆

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。

今村 仁

今村 仁

「節税は義務、納税は権利」がモットーです。
自分の半生について、取材を受けました。

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