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格付アップ5の方法(定性評価編)~科目内訳書はモニタリング資料

科目内訳書はモニタリング資料

今までは、格付アップの中でも決算書を中心とした「定量評価」に基づくものを解説してきましたが、ここからは、数字にはあらわれない「定性評価」に基づく格付アップ手法をご紹介します。  

金融機関というのは、融資を実行するまでは面談を行ったり資料を吟味したりなど、じっくり時間をかけて対応します。しかし、一旦融資が実行されると、その後は日常業務に追われてあまりその会社とのやりとりに時間をかけられないケースが多いです。しかし、金融機関の利益というのは、融資を実行したときはほぼ0円で、その後、融資先企業の利息元本込みの返済がきちんとなされることによって、確定していく仕組みになっています。  

つまり、金融機関にとって、融資後の企業の業績追跡調査(モニタリング調査)は大変重要であるということです。そこで、金融機関のモニタリング資料として重宝されるのが、企業が提出する「決算書一式」です。決算書一式とは、貸借対照表や損益計算書である「決算書」や「決算科目内訳書」です。意外に思われるかもしれませんが、決算書の他に決算科目内訳書というのも、金融機関は重要視しています。

正確に丁寧につくるとは?

科目内訳書とは、例えば、「現預金であれば、銀行名・支店名・種類・口座番号・決算時残高」、「売掛金であれば、相手先名・相手先住所・決算時残高」となります。

中小企業では、この科目内訳書は顧問税理士が作成することが多いと思いますが、決算利益や税金計算に影響しないこともあって、結構いい加減につくられていることがあります。例えば、売掛金の内訳書で、「その他 800万円」1本で終わっている場合などです。モニタリング資料として活用したい金融機関にとっては、この売掛金の内訳書から、「新規の取引先が増えているのか」、「ある特定の取引先に売上が偏っていないか」、「取引先に信用不安の会社はないか」などを確認したいのです。それが、その他でまとめて1行表示であると、モニタリング資料としては全く使えません。  

良い科目内訳書の例としては、以下の図のように、会社ごとに区分して表記し、住所も正確に書かれているものです。こういった内訳書であると、定性評価の上昇によって格付審査上有利に働く可能性があります。決算科目内訳書は正確に丁寧に作成するよう、心掛けましょう。

売掛金の科目内訳書の例

決算3ケ月以内の自主的決算報告は有効

金融機関は、通常、融資先企業の決算後に格付判定を行います。決算後に、金融機関から電話などで、「税務書の受付印のある決算書のコピーを頂けませんか」などと催促された経験は皆さんあるのではないでしょうか。  

そこで、金融機関に喜ばれるための方法、つまり定性評価に基づく格付アップの方法として、金融機関から催促される前に、決算書一式を自ら持っていかれることをオススメします。金融機関の方に聞くと、こちらが依頼する前に自主的に決算書を持ってくる企業はまだまだ少ないようですので、好印象となるでしょう。また、このとき次項で述べるキャッシュフロー計算書や来期予算表なども一緒に持参できると、更なる評価アップの可能性があります。決算書持参の時期としては、「決算後3ケ月以内で出来るだけ早く」を目安にしてください。

決算説明会への招待や2期比較決算書も有効

他に、金融機関も企業を取り巻く重要な1ステークホルダーであると考えて、自社で開催する決算説明会などに金融機関の方を招待するというのもオススメです。  

また、今まで見てきたように現在の金融機関融資というのは、格付融資が基本となっています。つまり、金融機関は過去の決算書をコンピューターに入力してその企業のランク付けをしているのです。そういった事情を考えると、例えば、「決算書を2期比較や3期比較で金融機関に提供してあげる」と、喜ばれるのではないでしょうか。金融機関に渡す決算書にひと工夫してみることも、オススメします。

2009.11.1執筆

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。

今村 仁

今村 仁

「節税は義務、納税は権利」がモットーです。
自分の半生について、取材を受けました。

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