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相続時精算課税制度は、2500万円まで無税で贈与可能

65歳以上の親から20歳以上の子へ2,500万まで非課税

前項で自社の株価がいくらなのかがわかれば、次の事業承継対策としては、その株式を事業承継予定者に移行していくことになります。そこで、中小企業における同族内の事業承継を考えた場合に活用できるのが、「相続時精算課税制度」です。  

この制度は、経済活性化を図るため高齢者の財産を早期に若者に移転できるようにしようと、平成15年税制改正において創設されました。この制度を使うと、65歳以上の親から推定相続人である20歳以上の子どもに対する生前贈与について、累計2,500万円まで、贈与税が一旦非課税になります。累計2,500万円を超えた部分は、一律20%の贈与税となります。  

一旦非課税というのはどういうことかというと、相続が発生したときにその生前贈与がなかったものとして、その贈与財産が相続財産に加算されるということです。

また、支払っていた贈与税があれば、それも同様に相続時に精算される仕組みとなっています。

つまり、贈与されたときには贈与財産2,500万円まで非課税ですが、いざ相続が起こったときには、その贈与が無かったものとして相続税の課税対象になるということです。

注意点は3つ

もちろんこの相続時精算課税制度は、事業承継対策として非上場の中小同族株式も対象となりますが、以下3つの注意点があります。  

1点目は、一旦この相続時精算課税制度を選択すると、その親からのその後の贈与については、年間110万円まで非課税となる「暦年課税制度」は選択できないことになる点です。相続時精算課税制度を適用しようとする最初の年度は、事前のシミュレーションなど慎重な対応が望まれます。  

2点目は、相続税の計算時に持ち戻しされる贈与財産の価額は、「贈与時の価額」となっている点です。もし贈与後に大幅な値下がりがあっても、贈与時の価額でもって相続税の計算をすることになります。

3つ目の注意点は、自社株贈与の場合は影響しないのですが、相続時精算課税制度で贈与された不動産については、相続税の節税となる「小規模宅地等の特例制度」の適用は受けられなくなる点です。  

これらの注意点がありますので、この制度を活用しようとするときには、税理士などの専門家に事前相談されることをお勧めします。

事業承継における相続時精算課税制度の活用法

では、事業承継においてこの相続時精算課税制度はどのように活用するのが有効でしょうか。

先ほどみたように、この制度は贈与時の価額で以後の相続税の計算が固定されます。ということは、贈与前に役員退職金を支給するなど「自社株評価を引き下げて贈与を行う」ことができれば、相続税の節税になるということです。  

更には、贈与時の価額で相続税の計算が固定されるということは、贈与後に事業承継予定者が努力して自社株の評価を上昇させても、相続税の計算においては贈与時の低い価額のままで済むということでもあります。この点も相続税の節税に貢献しているといえるでしょう。但しこれは、株価が下がった場合には不利になりますので注意が必要です。  

経営権でもある自社株を、現経営者が生きているうちに事業承継予定者に移行していくことは、円滑な事業承継を考えると大切なことです。そのときのツールとして、この相続時精算課税制度の活用を検討してみてください。

2009.11.1執筆

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。

今村 仁

今村 仁

「節税は義務、納税は権利」がモットーです。
自分の半生について、取材を受けました。

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