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現預金残高まで予測する裏技

差額で計算する

「利益計画のチョー簡単な立て方とは?」で、来期の利益計画の立て方を紹介しました。しかし、利益=「会社に存在する現預金」ではありませんから、来期末に一体いくらキャッシュが会社に存在するのかは、これではわかりません。  

そこで、来期末の現預金残高を予測する方法をご紹介します。  

「現預金」というのは、図にもあるように、会計上、貸借対照表の左上に位置します。そして、その貸借対照表というのは右・左の合計額がバランスすることによって成り立っています。そこで、現預金残高を予測する方法としては、「貸借対照表にある現預金以外の残高を先に求めて、その差額で計算」することとします。

現預金残高を予測する裏技

それぞれの求め方1

回転率で求める部分については、後ほどまとめてご紹介しますので、それ以外の項目の来期末残高予測法の説明から始めます。

資産項目にある「建物、機械装置、ソフトウェア」などの有形・無形固定資産については、まずは、前項で計算した減価償却費を今期末のそれぞれの資産残高からマイナスします。次に、来期中に資産を購入予定であればプラスして、逆に資産を売却又は除却する予定であればマイナスします。これで有形・無形固定資産の来期末の残高予測は終わりです。

また、資産項目にある「差入保証金」ですが、これは事務所を借りるときなどに発生します。差入保証金には減価償却という考え方はありませんが、来期中に発生するものがあればプラス、来期中に返還などするものがあればマイナスして、来期末残高を予測してください。

次に、負債項目の「短期借入金・長期借入金」については、新規借入の予定があればプラスして、逆に返済明細表から来期中の返済予定分はマイナスします。

純資産項目をみていくと、まずは「資本金」ですが、「通常今期と同じ金額」になります。もし、増資や減資を予定されている特殊な場合はそれらを加減算して計算してください。また、「前期繰越利益」については、来期末における前期なので今期となり、「今期末残高に今期末予測税引後利益を加減算」して計算してください。「当期利益」については、税引後となりますので、前項で計算した来期末予測経常利益に税率を加味した「経常利益×(1-40%)」となります。

それぞれの求め方2(回転率を使う)

「売掛金や受取手形」については、売上債権といわれます。売上債権回転率とは、例えば、年間売上高10億円で売掛金平均残高1億円の会社の場合、10億円÷1億円=10回となります。つまり、売上債権回転率とは、「売上債権における回収の効率性」を表す指標で、高ければ高いほどいいということになります。ちなみに、売上債権回転日数とは、365日÷10回=36.5日として計算され、売上債権が現金化されるまでの日数を表します。  

この回転率という考え方を使うと、「売上債権」や「商品などの棚卸資産」、「その他流動資産」、「買掛金や支払手形などの仕入債務」、「その他流動負債」の、来期末残高が予測できます。  

売上債権を例にとると、過去の実績より回転率が上述のとおり10回で、来期の年間予測売上高が12億円だとすると、12億円÷10回=1.2億円が来期末の売上債権残高の予測値となります。  

「商品などの棚卸資産」や、「その他流動資産」、「その他流動負債」については、売上債権回転率と同様に計算すると、来期末残高が計算できます。  

「買掛金や支払手形などの仕入債務」については、考え方は売上債権回転率と同様となりますが、売上高については「仕入高+外注費」と読み替えて計算してください。つまり、仕入債務回転率は、「(仕入高+外注費)÷仕入債務平均残高」で計算してください。そして、(来期の年間予測仕入高+外注費)÷仕入債務回転率が、来期末の仕入債務残高の予測値となります。  

少し意味がわかりづらいと感じるかもしれませんが、結果的にこのとおり計算すると、来期末のそれぞれの残高が予測できます。

とはいえ、あくまで概算計算

ここまでくると、冒頭の来期末の貸借対照表に計上されるべき「現預金残高」は簡単に予測できます。 現預金以外の項目を計算して、それぞれ貸借対照表に記入します。資産合計=負債・純資産合計ですから、「負債・純資産合計-現預金以外の資産合計=来期末の予測現預金残高」となります。 ただし、この現預金残高予測法は、あくまで概算計算です。特に、その他流動資産やその他流動負債については、回転率で計算しないで、個々に残高を予測して計算したほうが正確なこともあります。また、回転率などに特殊事情がある場合は、計算どおりにいかないこともありますので、ご了承ください。

2009.11.1執筆

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。

今村 仁

今村 仁

「節税は義務、納税は権利」がモットーです。
自分の半生について、取材を受けました。

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