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税務署からの資金調達とは?

税務署からの資金調達、返済不要

決算3ケ月前に行なう決算対策項目である「資金調達の検討」において、多くの会社が知らない(?)手法があります。  

それが、「税務署からの資金調達」です。しかも、この資金については、返済不要となっています。税務署からと聞いてそんなバカなと思われたあなた、ちょっと待ってください。これは平成21年度税改正項目ですので、知らなくて当然かもしれません。  

具体的には、「青色欠損金の繰戻し還付制度」を活用することになります。

前期黒字、今期赤字の場合に適用

1年前の前期決算では黒字であったけれども、この1年における不況などで今期の決算は大赤字という会社は多いと思います。この場合、今までの制度では、今年の赤字について来期以後9年間繰り越すことはできますが、前期の黒字については原則払いっぱなしで救済されませんでした。来期以後利益が出ればそのとき損益通算できるのでいいのですが、来期以後の見通しが立ちにくいのが現状です。また、現状のキャッシュフローを改善されるのを希望される会社も多いと思います。

そこで、平成21年度税制改正において、今まで設立5年以内の会社など特殊な場合しか認められていなかった「青色欠損金の繰戻し還付制度」が、中小法人等に限って全面解禁されることになりました。この場合、前期に支払った法人税が戻ってくることになります。下図をご覧ください。

具体的には、「下記に掲げる中小法人等の平成21年2月1日以後に終了する各事業年度において生じた欠損金額について、欠損金の繰戻し還付制度の適用ができる」こととなりました。

※中小法人等とは次の法人となります
(1)普通法人のうち各事業年度終了の時において資本金の額もしくは出資金の額が1億円以下であるものまたは資本もしくは出資を有しないもの(保険業法に規定する相互会社等を除く)
(2)公益法人
(3)協同組合
(4)人格のない社団等

注意点は2つ

ただし、この青色欠損金の繰戻し還付制度には注意点が2つあります。

1つは、法人事業税及び法人住民税の取り扱いです。まず、法人事業税については、この繰戻し還付制度の適用がありません。このため、法人事業税については繰越し控除となります。次に、法人住民税については、法人税の繰戻し還付が行なわれてもこの還付金に対応する還付を直ちに行なわず、翌期以降納付すべき法人税割から9年間にわたって順次控除されることになります。お間違いのないようにしてください。

また、もう1つの注意点は、この青色欠損金の繰戻し還付制度は、次の①から③のいずれにも該当する必要があることです。

①還付所得事業年度から欠損事業年度の前事業年度まで連続して「青色申告書」である確定申告書を提出していること
②欠損事業年度の確定申告書を「青色申告書」により「提出期限内」に提出していること
③確定申告書の提出と同時に欠損金の繰戻しによる還付請求書を提出していること

例えば、期限後申告となった場合などは適用が受けられないということですので、ご注意ください。

今期決算で「繰越す」か「繰戻す」かを検討すべし

決算3ケ月前の資金調達の検討時において、この「青色欠損金の繰戻し還付制度」を選択した場合に、どれくらいの法人税が戻ってくるのかをぜひシミュレーションしておいてください。図におおまかな計算式を載せておきましたので、参考にしてください。前提としては、前期黒字で納税が発生していて、今期赤字という場合です。

前述の注意点で、法人事業税や法人住民税のことを書きましたが、それらを含めて考えても、一般的には「繰越し控除」ではなくて「繰戻し還付」を選択したほうが有利となるでしょう。ちなみに、税務署から実際入金があるのは、申告してから通常1~2ケ月後となります。

青色欠損金の繰戻し還付制

2009.11.1執筆

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。

今村 仁

今村 仁

「節税は義務、納税は権利」がモットーです。
自分の半生について、取材を受けました。

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