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中小企業会計指針チェックリストを添付して保証料を下げる
中小企業の決算はいい加減!?
「中小企業の会計に関する指針」というのは聞いたことがあるでしょうか。これは読んで字のごとく、「中小企業における会計処理の方法における指針(ガイドライン)」について書かれたものとなっています。
実は以前まで、中小企業における会計処理や決算書の処理・表示の方法について明確な指針というのは存在していませんでした。そのため税法を中心とした処理方法に偏っていたのが、一般的な中小企業会計の実情でした。
しかし、これでは金融機関や取引先などからみたときに、会社の実態がよく分かりません。実際、金融機関の融資基準や与信枠算定などにおいては、大きな弊害となっていました。
そこで、平成17年8月に、日本税理士会連合会、日本公認会計士協会、日本商工会議所及び企業会計基準委員会の4団体が、法務省、金融庁及び中小企業庁の協力のもと、中小企業が計算関係書類を作成するに当たって拠るべき指針を明確化するために作成したものが、「中小企業の会計に関する指針」です。この指針は、その後、毎年改正が行われています。
中小企業が過度な負担なく適用可能
「中小企業の会計に関する指針」のうち、「本指針の作成に当たっての方針」という項目を見ると、「企業の規模に関係なく、取引の経済実態が同じなら会計処理も同じになるべきである。しかし、専ら中小企業のための規範として活用するため、コスト・ベネフィットの観点から、会計処理の簡便化や法人税法で規定する処理の適用が、一定の場合には認められる」と書かれています。
つまり、この指針は、中小企業が過度な負担なく適用できるよう配慮されているといえます。
「チェックリスト」で保証料率が下がる?
また指針と同時に、「中小企業の会計に関する指針の適用に関するチェックリスト」というものが公表されました。これも毎年改正が行われています。
この「チェックリスト」というのは、税理士がその会社の決算書などを一定のチェックリストに従ってチェックして作成することになっています。チェックリストの内容は、例えば、「残高証明書又は預金通帳等により残高を確認したか」や、「受取手形の割引額がある場合これを注記したか」などです。
このチェックリストを税理士などに作成してもらうことは、中小企業にとって大きなメリットとなります。税理士などが作成したこのチェックリストを、信用保証協会付き融資時などに金融機関などに添付して提出すると、信用保証協会の保証料率の割引を受けることができるのです。
更にメリットとしては、 平成18年4月から信用保証協会の保証料率が変動性になりましたが、そのときにも有利に働く可能性があります。今までは、信用保証協会の保証料率は一律(無担保の場合、年1.35%)だったのですが、平成18年4月からは中小企業の財務内容に応じて基準料率(0.5~2.2%の範囲の9段階)に、個々の中小企業者の財務以外の要因を加味して適用料率を決定することとなりました。そして、財務以外の要因においては、上記チェックリストの有無なども考慮される可能性があります。
民間金融機関でも有利?
日本税理士会連合会のホームページによると、民間金融機関においても、このチェックリストを活用している企業に対し、優遇措置を設けています。これもチェックリスト作成のメリットです。
例えば「チェックリスト活用商品」として、「三井住友銀行【クライアントサポートローン】」などが紹介されています(執筆時現在)。他にも115もの民間金融機関が、「チェックリスト活用商品」として、チェックリストの添付を要件とした金融商品を提供しています(執筆時現在)。
2009.11.1執筆
(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。
今村 仁
「節税は義務、納税は権利」がモットーです。
自分の半生について、取材を受けました。