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修繕費が費用とならない?~陥りがちな決算対策の罠

決算間際になると・・・

社長
「今期の利益予想は確か1,000万円だったと思うのだけど、税金払いたくないし、節税対策として工場の修繕に1,000万円使おうと考えているけど、これで税金は発生しないということで問題ないよね?」

税理士
「修繕といっても、この図面をみていると大幅な用途変更や避難階段の取り付けを含んでいますね。実は、税務上、修繕のすべてが即費用計上できるとは限らないのです・・・。」  

決算間際になると、上記のような会話が、会社と税理士事務所との間でなされることがあります。これは、税金の専門家以外の方が認識している「修繕費」の概念と税務上の「修繕費」の概念について異なる部分があるからです。  

そこで、「修繕費」となるか、資産計上となる「資本的支出」となるかの基準を解説します。当然、修繕費と出来れば、即費用計上可能となるわけですから、節税となります。逆に、資本的支出となれば、減価償却を通じての費用計上となりますので、税務上不利です。

資本的支出とは?

修繕費とは、「通常の維持管理費用又は原状回復費用」で、資本的支出とは、「固定資産の価値を高める支出又は耐久性を増すこととなる支出」です。

また、法人税法基本通達7-8-2では、資本的支出の例示として以下3つを挙げています。もちろんこれら以外にも、増築などは資産の取得となりますのでご注意ください。

(1)建物の避難階段の取付等物理的に付加した部分に係る費用の額
(2)用途変更のための模様替え等改造又は改装に直接要した費用の額
(3)機械の部分品を特に品質又は性能の高いものに取り替えた場合のその取替えに要した費用の額のうち通常の取替えの場合にその取替えに要すると認められる費用の額を超える部分の金額

逆に、通常の本社ビル壁のペンキ塗り替え費用や機械装置の保守点検費用などは、修繕費となります。

20万円未満は全額費用

とはいえ、あまりに金額が過少なものまで資産計上となると経理処理が煩雑となるので、「20万円未満は全額費用処理OK」という基準があります。つまり、明らかに固定資産の価値を高める支出又は耐久性を増すこととなる支出であっても、20万円未満であれば、修繕費として処理できるのです。

また、3年以内の周期で行われる修繕に関しても、修繕費として処理できます。  

更には、修繕費か資本的支出か区分が不明確な場合には、「60万円未満又はその修理・改良等をした固定資産の前期末取得価額の10%以下であれば全額費用処理OK」となっています。例えば、前期末取得価額800万円の機械装置に対して、修繕か資本的支出か区分不明な支出を70万円行った場合に、70万円≦800万円×10%=80万円となり、70万円全額が費用処理OKとなります。

いわゆる3:7基準

今まで解説した基準で修繕費か資本的支出かを判断するのが基本となるのですが、法人税法基本通達7-8-5では、特例として、法人が継続して以下のような経理処理をしている場合にはそれも認めるとしています(3:7基準)。

修繕費か資本的支出かの区分が不明な金額がある場合に、
(1)その金額の30%相当額
(2)その修理・改良等をした固定資産の前期末取得価額の10%相当額
のいずれか少ない金額を修繕費とし、残りを資本的支出とする

このように、修繕費として全額費用処理できるか資本的支出となるかは、結構難しい判断が必要なときがあります。また、災害の場合には別の取扱いがあったりしますので、大規模な修繕などを検討しているときには、ぜひ事前に顧問税理士にご相談ください。大体どれくらいが今期の費用になるのかを、シミュレーションしてもらうといいでしょう。

2009.11.1執筆

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。

今村 仁

今村 仁

「節税は義務、納税は権利」がモットーです。
自分の半生について、取材を受けました。

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