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資産を時価算定し、売却を検討する

益出し損出しを決算対策に活かす

前項では貸借対照表の資産科目のうち、売掛金や未収入金をみましたが、ここでは、「土地」「建物」「機械装置」「車両」「有価証券」「ゴルフ会員権」などの売却可能なものをみていきます。

今期業績は赤字なのだけれど、金融機関対策として出来れば黒字にしたいというケースを考えてみます。このようなときに、含み益のある資産を今期中に売却できたとします。すると、本業の赤字と売却益が通算されて、会社全体としては黒字にもっていけるかもしれません。また、売却収入により資金繰りも改善します。 もちろん、現在使用している資産は通常売却できませんから、未利用の土地や遊休の機械装置、事業に関係の無い有価証券などが売却対象となります。  

また逆に、業績は黒字なのだけれど手元キャッシュが足りないので、節税対策や資金繰り対策を行ないたいというケースでは、含み損を抱えている資産の売却が有効です。  

これらを図解にすると以下のようになります。

資産売却による効果

簿価時価一覧表は毎年チェック

益出し・損出しをして決算対策を行うといっても、事前の準備が無ければなかなか実行までこぎつけるのは難しいです。資産によっては、売却までに時間がかかるようなものもあります。また、金額も多額になりますので、判断を間違えないようにしないといけません。  

そこで、おすすめしているのが図にある「簿価時価一覧表」の作成です。売却の対象となる資産について、「時価」「簿価」「売却コスト」などを記入するようになっています。時価や売却コストは、業者や路線価などからわかる範囲で記入します。簿価については、貸借対照表に掲載されている金額を記入します。 「時価」と「簿価+売却コスト」を比べて、時価のほうが高ければ、益出し対策に使えます。逆に、時価のほうが低い資産は、損出し対策に使えます。

図は、益出し対策として、今期実行に○がついている「未利用の土地」や「役員専用車両」、「A株式」の売却を実施するようになっています。  

この簿価時価一覧表は、必ず毎年作成するようにしてください。特に決算対策を行う予定が無いときでも、作成してください。会社資産の棚卸を行って作成した簿価時価一覧表は、決算対策以外でも経営の羅針盤の1つとして活用できます。

簿価時価一覧表

中小企業は経営者個人分も作成

中小企業においては、工場の敷地が経営者の個人所有になっていたり、経営者の個人所有の土地に会社の担保が入っていたりします。つまり、会社の資産以外にも経営者個人の資産についても、上記簿価時価一覧表を作成することをおすすめします。

ただし、経営者個人所有の土地等を会社に売却するときには、注意してください。会社からすると経営者から資産を購入するときです。 

注意点は、その売買価額です。時価より高い価額での取引となると、時価との差額分は役員賞与とされて、会社で費用計上が認められず、経営者個人に所得税等がかかります。逆に時価より低い価額での取引となると、会社で受贈益計上となり税金がかかります。更には、時価の1/2未満で不動産等を売却すると、時価相当額で売ったものとして経営者個人に譲渡所得税がかかります。

ちなみに、会社資産を経営者個人に売却するときも適正価額である時価で行わないと、会社や経営者個人に税金が発生しますのでご注意ください。

2009.11.1執筆

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。

今村 仁

今村 仁

「節税は義務、納税は権利」がモットーです。
自分の半生について、取材を受けました。

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