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自社の株価がいくらなのかを知ることが対策の始まり

スタートラインは自社株評価

決算2ケ月前にするべき最後の項目は、「事業承継対策」です。  

しかし、中小企業の事業承継においては、いくつもの難問があります。例えば、「自社株の評価が高騰しこのままいくと相続税を払えない」といった「納税資金問題」や、「後継者に経営権を譲りたいが財産の分け方でもめそうだ」といった「遺産分割問題」、更にはそもそも後継者不在という「後継者問題」などがあります。ちなみに、後継者問題においては、近年中小企業においてもM&Aなどが活発に行われています。  

ここで、これらの問題を解決していくスタートとなるのが、「自社の株価が一体いくらになるのかを計算すること」、つまり「自社株評価」です。

自社株評価には2つの方法がある

未上場株式の相続税法上での評価というのは、その株式を受け取る人の立場によって異なりますが、オーナーという立場で考えると原則的評価方式となります。この原則的評価方式の場合、まず会社を従業員数や総資産価額、売上高によって大会社・中会社・小会社に分けます。  

会社規模によって計算方法が異なりますが、例えば大会社ですと「類似業種比準方式(純資産価額方式も選択可)」となり、小会社ですと「純資産価額方式」と「類似業種比準方式と純資産価額方式の併用方式」のうちどちらか低いほうで評価することになります。

類似業種比準方式とは、同じような業種の会社の平均株価をもとにして評価する方法です。対して純資産価額方式とは、会社を今清算するとした場合にいくらの価値があるのかという清算価値から評価する方法です。  

決算2ケ月前には、顧問税理士などと連携しながら自社株評価を毎年行うようにしてください。

自社株評価引き下げのポイント

一般的には、業歴が長く内部留保が厚い会社ほど、純資産価額方式で評価すると高い株価になりがちです。

そこで、自社株評価引き下げ対策としては、まずはなるべく類似業種比準方式で評価されるようにもっていき、次に、その類似業種比準方式の評価が下がるようにもっていくことになります。

類似で評価されるようにと考えると、なるべく小会社より中会社、中会社より大会社に該当するのが好ましいです。そのためには、(株価計算上の)会社規模を拡大していくことになります。

会社規模判定の要素としては、従業員数、総資産価額、売上高です。従業員数が100人以上の会社は必ず大会社となります。詳しくは下図をご覧ください。

次に類似業種比準方式の評価そのものを下げるためには、役員退職金の支給、含み損を抱えている資産の売却、配当率の引き下げと特別配当の実施、分社化などとなります。

会社規模区分表

金庫株の活用はメリットがいっぱい

自社株の評価が高くてどうしても個人で相続税が払えないときには、裏技として、相続人の自社株を会社に買い取ってもらう金庫株の活用という手法があります。  

この場合3つのメリットがあるのですが、1つ目は、個人の所得区分が「最高50%かかるみなし配当課税から20%で済む譲渡所得課税」に変更になることです。要件としては、相続税申告期限から3年以内の売却となっています。  

2つ目のメリットは、同様に相続税申告期限から3年以内の売却の場合、「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」が適用できる点です。これは、相続税額のうち一定額を譲渡所得課税計算上の経費としてみてくれるというものです。  

金庫株活用の最後のメリットは、株式の分散防止やそれにともなう経営権の確保があります。金庫株とは、会社に株式を買い取ってもらうことですから、株式が分散するということはありません。  

金庫株の活用は、会社にお金があることが前提となりますが、平成18年の会社法創設によって、財源規制はあるものの、会社が自己株式を取得することは、「いつでも、何度でも、誰からでも」可能となり、使い勝手が向上しました。

2009.11.1執筆

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。

今村 仁

今村 仁

「節税は義務、納税は権利」がモットーです。
自分の半生について、取材を受けました。

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