簡易課税制度は事業年度が始まる前に届出必要 | 大阪の税理士法人:大阪・京都・神戸・滋賀・奈良・東京・横浜を中心に活動/決算対策/節税対策/銀行対策/黒字化対策/赤字対策/資金調達/税務調査/

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簡易課税制度は事業年度が始まる前に届出必要

来期消費税計算方法の選択

決算1ケ月前にするべき2つ目の項目は、「来期の消費税計算方法の選択」です。

基準期間の課税売上高(個人事業者の場合は前々年の課税売上高、法人の場合は前々事業年度の課税売上高ですが前々事業年度が1年未満の場合は1年換算した金額)が5,000万円以下の会社は、消費税の計算方法として、原則課税方式以外に簡易課税方式というものを選択できます。

原則課税方式(課税売上割合95%以上の場合)とは、読んで字のごとく原則通りの考え方をしますから、「売上の際に顧客から預かった消費税」から、「仕入などの際に支払った消費税」を差し引いて計算します。会社としては、消費税はスルーするだけなので損も得もないということになります。

(注)課税売上割合とは、その課税期間中に国内において行った資産の譲渡等の対価の額の合計額のうち、その課税期間中に国内において行った課税資産の譲渡等の対価の額の合計額の占める割合のことをいいます

それに対して簡易課税方式とは、「売上の際に預かった消費税」から、「売上消費税に一定のみなし仕入率を掛けた金額を支払った消費税とみなし」て、その差額を支払うというものです。つまり、実際支払った消費税というのは一切見ずに、売上高と業種ごとに異なるみなし仕入率をもとに支払うべき消費税を計算する方法です。計算は、「原則課税方式」に比べてかなり簡単になります。

原則課税方式と簡易課税方式

事業年度開始前に届出が必要

原則課税と簡易課税のどちらが有利になるかは計算してみないとわからないのですが、ここでまず大事なのは、その選択は原則「事業年度開始の前」にしないといけない点です。

つまり、基準期間の課税売上高が5,000万円以下の会社は、当期中に来期の消費税についてシミュレーションしたうえで、来期の消費税計算方法を選択しておかないといけません。忘れないようにしましょう。

具体的に簡易課税を選択する場合には、図にあるように所轄の税務署に「簡易課税制度選択届出書」を提出することになります。

簡易課税制度選択届出書の提出

シミュレーションの仕方(2年間で判断すること)

では最後に、原則課税か簡易課税かどちらが来期有利になるのかを事前にシミュレーションする方法をお伝えします。  

詳細な来期及び来々期の経営計画ができている場合には、原則課税及び簡易課税をそれぞれ具体的に概算計算してください。複雑に思えるかもしれませんが、前述したように、簡易課税方式は売上高と業種区分がわかれば計算できます。また、原則課税方式(課税売上割合95%以上の場合)の場合は、図を参考に給与や法定福利費、租税公課などの消費税がかからないものを除いて、それら以外の(課税売上高―課税仕入高)×5/105で求めてください。

このときの注意点としては、固定資産の購入や売却があれば、それらも加味して計算しないといけない点です。ちなみに固定資産の売却に関しては、簡易課税においても4種売上として影響しますので、忘れないようにしましょう。  

詳細な来期以後の計画がない場合には、仕方がありませんので、仮計算として、「当期の現在までの試算表と未来3ケ月予測を使って算出したもの」や「現在までの試算表を年換算して算出したもの」を使って計算してください。ただし、これらの方法は正確性に欠けますので、経営陣などに来期以後の利益構造が今期とそう大きく変わらないのかの確認と、固定資産の購入や売却については個別に確認して計算に加味するようにしてください。

来期以後の計画書から計算する場合も今期試算表から計算する場合も、簡易課税制度の選択は原則2事業年度継続適用となっていますので、2事業年度のシミュレーションで判断するようにしてください。

消費税がかからない取引(非課税・不課税取引)

2009.11.1執筆

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。

今村 仁

今村 仁

「節税は義務、納税は権利」がモットーです。
自分の半生について、取材を受けました。

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