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黒字化対策3-解約・免除は有効な黒字化手段! | 大阪の税理士法人:大阪・京都・神戸・滋賀・奈良・東京・横浜を中心に活動/決算対策/節税対策/銀行対策/黒字化対策/赤字対策/資金調達/税務調査/
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黒字化対策3-解約・免除は有効な黒字化手段!
収入計上となる生命保険契約等を解約する
黒字化対策の3つ目の柱は、「解約・免除」です。具体的には、「簿外資産を顕在化させること」と、「借入金などの債務を免除してもらうこと」です。
簿外資産の顕在化で効果が高いのが、「不要な生命保険契約等の解約」です。ただし、これは含み益が生じている場合でないと、黒字化対策にはなりません。時々失敗例がありますので、ご注意ください。
では、含み益が生じているかどうかの判定ですが、単純には、「解約返戻金>保険積立金」となるかどうかです。ここで、保険積立金とは、過去の生命保険料の支払時に「保険料」という費用処理をしなかった部分が該当します。例えば、平成20年2月28日以後の契約に係る逓増定期保険については、その支払保険料の1/2又は2/3又は3/4が保険積立金として資産計上されているはずです(詳細は「黒字化対策1-費用ではなく資産処理とする!」参照)。
保険契約等を解約する前には、ぜひ、その保険についていくらの保険積立金が計上されているのかを、決算書の「科目内訳書」で確認してください。そして保険会社への問い合わせでわかる解約返戻金と比べて、「解約返戻金>保険積立金」となっていれば黒字化対策になります。保険積立金が計上されている保険契約を解約したときの仕訳については、以下のようになります。つまり、解約返戻金-保険積立金=雑収入となり、この部分が黒字化に貢献することになります。
ちなみに、掛け捨てである定期保険などは、解約しても解約返戻金は通常発生しませんのでご注意ください。
資金繰り対策にもなるがリスクマネジメントも大事
また、生命保険契約等を解約すると、「解約返戻金」が会社の預金通帳に入金されますので、資金繰り対策にもなります。
更には、解約以後、保険料の支払いもなくなりますから、この際お付き合いで加入している保険については、解約を検討されるのも一考です。
ただし、保険を解約すると、当然その分何かあったときに保険金が支払われないことになりますから、企業のリスクマネジメントという見地からの考察も大切です。
更には、あと1年保険を継続したら、解約返戻金が大きくふくらむというケースもあります。したがって、保険の解約については、単に今期の黒字化だけに目をとらわれずに、タイミングも考えて、トータルで得をする判断をしてください。
解約できないときは、払い済み保険へ
保険を解約できないときには、「払い済み保険」への変更を検討してください。
払い済み保険とは、以後の保険料の払い込みを中止して、その時点での解約返戻金を原資に保険期間を変えずに同種の保険などに変更することです。特約はなくなりますが、この場合、法人税法基本通達9-3-7の2によると、経理処理は「原則として、その変更時における解約返戻金相当額とその保険契約により資産に計上している保険料の額との差額を、その変更した日の属する事業年度の益金の額又は損金の額に算入」となります。黒字化に貢献する可能性がありますので、覚えておいてください。
倒産防止共済を解約する
倒産防止共済とは、得意先の倒産に備えて毎月掛金を支払い、実際得意先倒産時に掛金総額の10倍まで(8,000万円以内)の金額の融資が受けられるとうものです(詳細は「中小企業倒産防止共済は、おすすめできる節税対策です」にて)。
この倒産防止共済は、掛金を40ケ月以上支払うと解約手当金として過去の掛金が100%戻ってきます。また、解約手当金は全額収入計上となります。つまり、「倒産防止共済の解約」は、簿外資産を顕在化させることになり、黒字化対策につながります。
これは先ほどと同様、資金繰り対策にもなります。
役員借入金を債務免除
中小企業では、社長をはじめとする役員関係の「役員未払金」や「役員借入金」が貸借対照表に負債として計上されていることがあります。その発生原因としては、過去の役員給与の未払いや創業時の資材提供などです。
何とか今期黒字化したいというときに、「役員未払金や役員借入金の債務免除(役員側からみると債権放棄)」を受けられれば、金額によっては大幅な黒字化対策になることがあります。この場合、経理処理として以下の仕訳を実施することになり、債務免除益という収入が計上されることになります。
借方:役員未払金又は役員借入金××円/貸方:債務免除益××円
他にも、過去の仕入や経費で長期未払債務が発生していて、現実的に今後支払わなくていいというものがあれば、それらも債務免除益として収入計上すこともご検討ください。同様に黒字化対策になります。ただし、長期未払債務の整理については、そもそも当初の経費処理について架空でないかなどの疑念を税務署にもたれることがありますので、顧問税理士と相談のうえ実行してください。
2009.11.1執筆
(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。
今村 仁
「節税は義務、納税は権利」がモットーです。
自分の半生について、取材を受けました。