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増資と私募債、オススメは?

資金調達手段は5つある!

今までは金融機関を中心とした資金調達について書いてきましたが、実は資金調達手段としては、図にあるように、「借入」以外にも「企業間信用」、「社債(少人数私募債)」、「増資」、「内部留保」が存在します。  

「企業間信用」とは買掛金などの支払いサイトを長くしてもらうことで、資金調達と同様の効果があります。「借入金」については今まで書いてきたとおりで、「社債(少人数私募債)」については後述します。これら3つが、貸借対照表においては負債の部に計上されることになります。  

次に、純資産の部を構成する資金調達手段としては、新株発行を行う「増資」があります。また、忘れてはならない大事な資金調達源泉として「内部留保」があります。これは今までの税引き後の儲けの蓄積で、単純には通帳にある余裕資金の残高です。プライベートで家や車を買うときでもそうですが、会社で何か投資を考えるときは、通常、投資額の2~3割以上の自己資金を確保してから行うのが原則とお考えください。

5つの資金調達手段

増資という禁じ手は使わない!

借入金は金融機関が仲介機能をもつため「間接金融」といわれていますが、それに対して「増資」というのは直接投資家から資金を調達するという意味で「直接金融」といわれています。図をご覧ください。

そして中小企業においてときどき見受けられるのが、安易な第3者割当増資を行っているケースです。私は中小企業においては、「第3者が株主になる増資」は控えるようにとお話しています。というのも、株主というのは、法律どおり解釈するとその会社の所有者で強力な権限があります。持ち株比率などによっては、経営にも大きく介入することができます。資金供給者である株主と会社実務を担っている経営陣との対立は、幾度となくみてきましたが、うまくいっているケースのほうが圧倒的に少ないです。

特に創業10年以内の経営が安定していない中小企業で考えると、どうしても事業の成長に対して資金調達がうまくいかず目先のお金に目がくらみがちです。しかし、後々の大きなトラブルの火種となることを考えると、安易に他人に株を渡すことはやめましょう。

直接金融と間接金融

オススメは少人数私募債!

そこで、金融機関以外の資金調達手段で私がオススメするのは、「企業間信用」、「少人数私募債」、「内部留保」です。企業間信用と内部留保は、「内部資金調達という考え方」で詳しくみていきますので、ここでは、少人数私募債を取り上げます。  

少人数私募債は、社債の一種で、借入のように毎月の返済は必要ありません。期日一括返済となります。また、増資とは異なりますから、経営を脅かされる心配もありません。そして、下記の条件を満たすと、官公庁への届出等が全く不要になり、会社の取締役会決議だけで簡単に発行することができます。

●募集総額が過去2年を含め1億円未満であること
●過去半年を含めて私募債購入者が50名未満であること
●社債引受人が知人、友人、取引先等に限定されていること(金融機関等はダメ)など

メリットは5つあります

少人数私募債発行のメリットは、下記の5つです。

1.取締役会決議のみで発行可能
2.官公庁への届出等が不要
3.担保や保証人が不要
4.社債利息の計上による節税効果
5.金融機関からの評価が向上

まずは、先ほどみたように、「取締役会決議のみで発行可能」や「官公庁への届出等が不要」と手続きが簡単なのがメリットです。  

また、金融機関からの借入であれば担保や保証人が必要ですが、身内や知人に通常引き受けてもらう少人数私募債ではそれらが「不要」となります。  

更には、増資の場合には投資家に対して配当を支払っていくのに対して、少人数私募債の場合は1年毎などに社債利息を支払うことになりますが、「社債利息は配当と違い全額会社の経費」になります。ちなみに、社債を引き受けた社債権者(個人の場合)の社債利息に対する課税体系は「20%の源泉分離課税」となります。税率の高い高額所得者にとっては、節税効果が期待できます。源泉分離課税ですので、社債利息を受け取ったときに税金が天引きされ、確定申告など面倒な作業も不要です(改正予定、復興特別所得税考慮外)。  

また、社債は会社にとって安定資金となりますので、「金融機関の評価が向上」する可能性があります。

2009.11.1執筆

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。

今村 仁

今村 仁

「節税は義務、納税は権利」がモットーです。
自分の半生について、取材を受けました。

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