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格付アップ10の方法(決算書編)~DESという会計トリック

増資をして格付アップ!?

「格付アップ10の方法(決算書編)~役員借入金を固定負債に計上する」で定量的評価における4分類の経営指標をお伝えしましたが、決算書においてどの数字を向上させると、格付アップに最大限貢献すると思いますか?  

それはズバリ、貸借対照表における「純資産=自己資本」です。この部分の金額が大きくなれば、格付上有利になるとお考えください。  

では、純資産=自己資本の構成要素は何かというと、それは「資本金+繰越利益剰余金」で、繰越利益剰余金とは、過去の損益計算書の「税引後利益」の累計です。  

つまり、利益を計上していければ自己資本が増加し格付アップにつながります。しかし、それ以外に「資本金を増加」させても自己資本が増加し格付アップにつながります。  

そこで、格付アップ対策として、「増資」を検討するのも一考です。増資とは、通常、投資家から資金を提供してもらい株主になってもらうことですが、借入などと違い返済義務がありません。返済義務がない資金調達のため一見良いように思うかもしれませんが、「増資と私募債、オススメは?」でお伝えしましたように、中小企業では「第3者が株主になる増資」はおすすめしません。出来れば、経営陣を中心とした増資が好ましいでしょう。

また、増資をすると、増資手続き費用の発生や、税務上のデメリットが生じることがありますので、実行にあたっては慎重な判断をしてください。

DESという会計トリック

増資が格付アップにつながるとはいえ、資金供出者の問題などから、中小企業では実行しづらいことが多いでしょう。  

そこでDESという手法をご紹介します。DES(Dept Equity Swap=デット・エクイティ・スワップ)とは、「デット=借入金」と「エクイティ=資本金」を「スワップ=交換」することをいいます。図をご覧ください。この場合、増資のように資金は必要なく、その代わりに負債である借入金を現物出資する形をとります。借入金を資本金に振り替えることが出来れば、自己資本の増加につながり、格付アップに貢献します。とはいえ、金融機関が一般の中小企業に対してDESに応じてくれることは通常ありません。  
そこで、借入金の中でも役員借入金(特に経営者借入金)に注目します。役員借入金で返済不要のものがあれば、DESに活用できないか検討してみてください。専門用語では、「役員借入金を現物出資」することによって資本金に振り替える、ということになります(税制改正によりDESによる金銭債権の現物出資にあっては、資本金の額はその金銭債権の時価となりましたので、DES実行により課税リスクが生じることがあります)。  

結果、自己資本の増加につながり格付アップの可能性が高まります。但し、この場合も前段と同様、実行には増資に伴うデメリットも考慮してご判断ください。

DES

実質資本金であると説明

返済不要な役員借入金であっても、資本金が増加することになるDESの実行までは躊躇してしまう、というケースもあると思います。  

そのような場合には、ぜひ金融機関担当者に、「この役員借入金は返済不要のため、格付審査上、実質資本金として取り扱ってほしい」と口頭で言ってみてください。口頭による伝達がどれほど効果があるのかはわかりませんが、金融庁の指導において、「実質固定化された役員借入金を資本金とみなして取り扱うように」というような指示が各金融機関に出されているようですので、試してみる価値はありそうです。

ちなみに、「格付アップ10の方法(決算書編)~役員借入金を固定負債に計上する」で「役員借入金」という新科目を流動負債ではなく固定負債に計上してくださいとお伝えしましたが、それは単に流動比率をあげるためだけではありません。固定負債に単独科目で役員借入金を表示することにより、上記の「実質資本金である」という口頭による説明時にも有効に機能するからです。

2009.11.1執筆

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。

今村 仁

今村 仁

「節税は義務、納税は権利」がモットーです。
自分の半生について、取材を受けました。

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